電動化が進む昨今、日本郵便の配達バイクも例外ではありません。かつて郵便配達の主役であったホンダ「スーパーカブ」の姿を、電動スクーター「BENLY e:PRO(ベンリィ イー プロ)」が徐々に置き換えつつあります。日本郵便では、都市部を中心にすでに全国で約2万台ものEVバイクが導入されており、郵便局員の方々の相棒として現場で活躍中です。
しかし、電動バイクの導入に対して郵便局員の評価はどうなのでしょうか?従来のガソリンエンジンバイクからの変化に戸惑いはないのか、また新しい「配達の足」としての性能や使い勝手は? 現場の本音をもとに、「BENLY e:PRO」の特徴や評価を詳しく探ってみました。
郵便配達のバイクといえば「郵政カブ」
電動バイクの登場まで、郵便配達用バイクといえば、ホンダ「スーパーカブ」をベースにした「MDシリーズ」でした。この「MDシリーズ」は、「郵政カブ」という愛称でも親しまれ、1971年に郵政省(現・日本郵便)の要請で開発されて以来、長年にわたって配達の現場で使われ続けてきた歴史あるバイクです。
MDシリーズには、配達に特化した工夫が施されており、大容量のガソリンタンクや、荷物をしっかり固定できる大きなフロントとリアキャリアが装備されています。また、サスペンションは悪路での衝撃を吸収するように強化されており、少々の段差も気にせず配達を続けられる安定性が特徴でした。寒冷地ではグリップヒーターやサイドスタンドが強化されるなど、まさに「郵便配達のため」に作られた相棒と言えるでしょう。
EVバイク「BENLY e:PRO」導入の背景
郵便局にとって、配達バイクの電動化にはいくつかの理由があります。まず挙げられるのが「環境への配慮」です。ガソリンエンジンのバイクに比べて、電動バイクはCO₂排出量が抑えられるため、持続可能な社会の実現に貢献できます。特に、交通量が多く、排気ガスや騒音が問題となりやすい都市部においては、環境への影響が少ない点が大きなメリットです。
もう一つの理由は、運用コストの削減です。ガソリンを使用する従来のバイクに比べ、電動バイクは充電費用が抑えられるうえ、エンジンのメンテナンスにかかるコストも減らせます。日本郵便は近年、人件費や配達コストが増加する中で、経費削減が求められており、こうした背景もEVバイク導入の後押しとなりました。
BENLY e:PROの特徴
では、「BENLY e:PRO」にはどのような特徴があるのでしょうか?BENLY e:PROは、ホンダが郵便配達向けに開発した電動バイクで、配達業務の効率を高める機能が備わっています。
- バッテリー交換式で手軽な充電
BENLY e:PROはバッテリー交換式を採用しており、バッテリー残量が少なくなれば簡単に交換することが可能です。これにより、配達中にバッテリーが切れてしまう心配が軽減され、忙しい配達スケジュールを崩さずに済むメリットがあります。また、バッテリー交換ステーションを設けることで、複数の郵便局で効率的なバッテリー管理が可能となります。 - パワフルで静かな走行
電動バイクの利点として挙げられるのが、静音性です。従来のガソリンバイクに比べ、走行音が小さいため、夜間や早朝の配達でも騒音が抑えられ、地域住民への配慮になります。また、スタート時のトルクが強く、スムーズでパワフルな加速が可能です。これにより、頻繁にストップ&ゴーを繰り返す配達業務においても軽快な走りが得られます。 - 安定した運転性能と積載性
BENLY e:PROは、小回りの利くコンパクトなデザインながら、荷物をしっかりと積載できる工夫がされています。専用のフロントキャリアとリアキャリアにより、郵便物を安全に運ぶことが可能です。郵便局員からも「配達物が安定して積める」「バイクの安定感がある」といった好評が寄せられています。
現場の声「BENLY e:PRO」への評価は?
新たに導入された電動バイク「BENLY e:PRO」に対して、現場の郵便局員たちはどのような感想を持っているのでしょうか?実際に配達業務で使用する職員からはさまざまな声が寄せられています。
「環境にはいいけど、もう少し軽ければ…」
BENLY e:PROは、配達業務用に設計されているものの、従来のMDシリーズに比べるとやや車体が重くなっています。そのため、狭い路地や坂道での取り回しがやや大変だという声が上がっています。特に、地方の山間部や狭い道が多いエリアでは、軽量なガソリン車の方が取り回しがしやすかったと感じる職員もいるようです。
「エンジン音が静かで快適」
電動バイクの静音性は、現場での好評ポイントの一つです。特に、早朝や深夜の配達が多いエリアでは、静かなバイクの方が住宅街でも気兼ねなく走行できると好評です。以前はエンジン音が気になってしまうエリアもあったようですが、電動バイクは音が静かで、「配達に集中できる」という声が寄せられています。
「バッテリー管理が少し手間」
一方で、バッテリー管理に関する意見もあります。BENLY e:PROはバッテリー交換式ではあるものの、予備バッテリーが必要となるため、各郵便局でのバッテリー管理がやや煩雑です。長時間の配達業務を終えた後にバッテリー交換が必要なケースもあるため、充電管理を徹底する手間が増えることもあります。
これからの郵便配達とEV化の展望
現場の郵便局員からは、「BENLY e:PRO」は配達業務において様々な利点と課題があると評価されています。環境負荷を抑える電動バイクの導入は、今後もさらに進むと考えられますが、現場の声に寄り添った改良も求められています。郵便配達業務の環境改善だけでなく、日々の業務がよりスムーズに進むための改良が行われることで、BENLY e:PROは郵便局員たちの「新しい相棒」として広く受け入れられていくことでしょう。
また、電動化の動きはバイクに限った話ではなく、三輪車や四輪車にも広がっており、郵便局のEV化は今後も進展する見込みです。今後、郵便配達に必要な機能と環境への配慮を両立させた改良が進むことで、現場の方々の負担が軽減されることが期待されています。