よくあるトラブル
単車を使用する際には、二輪車の特性を充分に理解して、必要とされる情報の収集やドライビングテクニックの修得をすることが大切になります。また、バイクが関係する事故やトラブルの中から、よくあるものをピックアップして内容を確認することによって、同じような問題を引き起こさないための方法を見出すことも可能になるでしょう。
例えば、二輪車は、四輪車と比較して車体の幅が狭く、サイズが小さくて軽量であるために小回りが利き、道幅の狭い路地なども問題なく走行することが出来るという利点があります。ただ、そのような特性があるからと言って、渋滞している車列の横をすり抜けるようにオートバイを走行させると、対向車線から右折してくる車両などを確認しづらく、衝突事故が発生するリスクが高くなりますので、注意する必要があります。そのような事故が起こった場合でも、直進車には優先権が認められていることから、みずからに非はないと主張する単車のドライバーは少なからず存在するようです。しかしながら、バイク、自動車にかかわらず、走行している車両同士が衝突した場合には、加害者と被害者の双方に、多少なりとも過失があるとみなされるケースが多くなります。先ほどのケースでは、優先権のある直進車両にも、前方に注意する義務を怠ったという過失責任が問われることとなります。
また、交通事故の被害者となった場合には、病院やクリニックで治療や診察、手術を受けたり、入院したりするためのコストだけではなく、医師からの指示があれば、鍼や灸、マッサージなどの施術を受けるための費用も、相手方に請求することが可能となります。ただし、医師からの指示が無く、みずからの判断でそれらの施術を受けた場合には、健康保険や自動車保険の給付がなされないこととなりますから、注意しなくてはいけません。
その他に、二輪車と四輪車とでは、加入することの出来る任意保険の種類や保障の適用範囲などに違いがあるケースも存在しますので、気を付ける必要があります。例えば、自動車保険会社によって提供されている、他者運転危険担保特約などは、バイクには適用されません。したがって、その種の保険に加入している知人にオートバイを貸して事故を起こされ、その単車が損傷したとしても、保険金の給付はおこなわれないこととなります。そういった問題を解決するためには、知り合いに自費で弁償してもらうよう説得するなどといった方法しか無いものと思われます。また、たとえバイクを所有している自分以外の人間が運転していたとしても、所有者にも被害者に対する賠償責任が発生することとなります。もしも、ドライバーに賠償をするだけの資力が存在しない場合には、所有者が賠償する必要性が生じてくることとなります。
また、自分の乗っているバイクが事故による損傷を受けた場合には、その車両の時価額を基準にして、損害賠償のおこなわれるのが一般的です。ただし、バイクを使用した期間や走行距離が短かいなど、新車に近いコンディションである場合には、被害者のこうむる金銭的デメリットが多くなることから、トラブルに発展する事例がめずらしくありません。しかしながら、たとえわずかしか使用していなかったとしても、新車ではなく、中古車である限り、時価額が基準とされることは止むを得ないと考えた方が良いでしょう。そのような問題に関して争うよりも、相手の提示した時価額を鵜呑みにするのではなく、みずから中古車両の販売価格などを調べて、少しでも賠償金が増額されるよう働きかけることの方が重要になります。