示談
示談とは
よほどのことが無い限り、バイクや自動車、スクーターなどの交通事故が発生するタイミングや場所は、誰にも予測することが出来ません。そのあたりの事情からすれば、アクシデントの起こった現場に、たまたま巡回中の警察官や、加入している保険会社のスタッフが居合わせるなどといったケースは少ないと考えられます。多くの場合、事故現場には、被害者と加害者、及び通行人、付近の住人など以外は存在しないことでしょう。
その内、事故の当事者である被害者、加害者の身体に異常を来たしたり、交通事故によって発生した火災や渋滞などの被害が大きかったりする場合には、通行人や住民などの協力を得て、問題を解決する必要があるかも知れません。例えば、怪我をして身動きの取れない当事者に代わって、そうした周囲の人たちが、警察署や消防署へ電話をかけて、パトカーや救急車、消防車などの手配をするケースも少なくありません。また、そういった人々が事故の現場を目撃していた場合には、警察などの取り調べや事情聴取に際して、証言をする必要が生じてくる可能性もあります。
その一方で、被害者や加害者が負傷していなかったり、怪我の程度が浅かったり、被害の規模が周囲に影響を及ぼすほど大きくなかったりする場合には、当事者同士が、損害賠償の金額や支払い方法などを話し合いによって決め、交通事故の解決を図るケースもめずらしくありません。そのようなおこないのことを、「示談」と呼びます。
示談の成立について
示談が成立し、加害者から被害者への賠償金の支払いが終わると、被害者は、それ以上の損賠賠償を請求することが出来なくなります。示談の交渉は、当事者同士の他に、それぞれが加入している保険会社のスタッフや弁護士、行政書士などといった法律の専門家が代行するケースもあります。示談は、口頭でおこなわれる可能性もあります。しかし、後々になって、示談の内容や金銭の受け渡し等に関する、無用なトラブルに巻き込まれるリスクを減らすためには、示談内容を書面にした「示談書」を作成し、双方が納得した上で捺印することをおすすめします。
示談は、民法695~696条の和解契約に該当するため、損害賠償金(示談金)の額は、双方が話し合い、納得をすれば、自由に設定することが可能となります。ただし、示談金の相場等に関する知識や理解、示談交渉のスキルが浅い人が、不用意に捺印すると、思わぬ損失をこうむって、後悔することにもなり兼ねませんので、注意を払いたいものです。