交通事故で負傷者の家族が直面する介護の実態
交通事故が発生して重い人的被害が生じ、自力で移動できない、あるいは自力で食事が出来ない、など重篤な後遺障害が残るケースがあります。
このような場合は、被害者の家族が被害者のその後の暮らしを将来に渡り介護する必要に迫られるでしょう。
その事実は、被害者本人の人生のみならず、介護する家族も肉体的、精神的に大きな負担となり、その後の人生に影響を与えることなので、しっかりと考えなくてはいけません。
交通人身事故を原因として、家族が被害者となり「寝たきり」状態になったケースの介護の実情と、受ける事が出来るサポートや補償に関して解説します。
常時介護が求められる遷延性意識障害
交通人身事故が発生して頭部を損傷すると、さまざまな後遺障害が残り、その後の人生、生活に計り知れない影響が出ます。
特に植物人間状態と呼ばれるような遷延性意識障害が後遺症として残れば、被害者の常時介護の必要性から被害者本人に加え家族のその後の人生に大きな影響を与えるのです。
遷延性意識障害は、自力で移動が出来ない、食事が出来ない、排泄が出来ないなど、6つの症状が3か月以上続く場合をいいます。
なお、こんな場合は、家族が成年後見制度を使って所要の手続きと加害者に対する損害賠償を適切に請求しましょう。
被害者を将来に渡り介護するためには多額の資金が必要になります。
適切に賠償を受ける事が出来るように、専門知識の少ない家族だけで考えて行動するのではなく、豊富な知識と経験を持つ弁護士の支援を受けることをおススメします。
介護にあたっての対応
事故被害者が植物人間状態となった場合、家族は介護の問題に直面しますが、どのような環境で見ていくかは大きな問題です。
対応可能なサポート策の例を挙げてみますが、個別に事情が異なるため一概に一つの解決策があるわけではありません。
前提として、症状の回復が見込めない場合、病院にずっと入院した環境で介護を続けることは基本的に不可能です。
介護療養型の医療施設や身体障がい者施設に入所して、そこで介護を受けるケースもありますが、在宅で介護を続けることも珍しくありません。
自宅介護の場合、介護環境整備のため福祉用具購入や居室改造費用も発生します。
その費用も損害額として請求出来ますので、漏れなく受け取りまましょう。
被害者の食事摂取や排泄、痰吸引等の方法も必要に応じ、医師や看護師に指導を受けてください。
また、訪問介護や障がい者施設デイサービスなどの在宅介護サービスを活用して、家族の負担を軽減することも大切です。
被害者が家計の担い手で、進学を控えた子供がいる場合、子供の将来に影響がないように、奨学金制度を活用するとよいでしょう。