原因と技術の関係性
交通事故と技術は直接結びつかない
交通事故というと、運転の技術が未熟だから起きると考えている人も多いでしょう。
しかし、そうではないという研究結果もあります。
事故というものは、危険ということを見落としているからこそ、引き起こされるという考え方です。
実際に運転中にびっくりしたり、ヒヤッとしたりすることはあるのではないでしょうか。
その時の状況を考えてみると、それは技術に起因することではなく、危険というリスクを見落としている時だということに気が付くはずです。
焦っていた時や、大丈夫であろうと思い込んだとき、長時間運転して疲労がたまったときなど、さまざまな要因が多くの危険性を生み出していることを把握するべきです。
焦りや思い込みが事故を引き起こす
事故ということを考えると、なんでこんなところでと思うような場所で起こることもあります。
そこには、焦って運転したり、事故は起きないと思い込んでしまったりすることでリスクを見落としてしまっているという現状があるのです。
焦っていると視野は狭くなりますし、周囲を見る余裕も減ってしまいます。
自分だけの意識で走ることになりますので、周囲の車の行動は見ることをしなくなっていたりするのです。
これでは事故も起きるでしょう。
何も起きないと思い込んでいることも危険です。
前方からは何も来ない、道の横からも何も飛び出さない、そう思い込んでいればふいに出た車と衝突する可能性は高まります。
反応速度も遅れますので、どうしても事故につながるといえるでしょう。
技術で事故を表せないハインリッヒの法則
ハインリッヒの法則というものもあります。
労働災害に対して使われている経験則ですが、1つの重大事故の背後には、299の軽微な事故とは言えないヒヤッとしたことがあるという法則です。
もっと細かく考えると、1つの重大事故の裏には、29の軽度な事故があり、300のひやりとした事故未満の災害が起きていると分析することができます。
運転ということを考えても、一つの事故の裏には、多数のヒヤッとした事象が隠れているといえるでしょう。
技術的に自分は事故を起こさないと思っていても、細かな事象がいずれ事故につながってしまう可能性を否定することはできないのです。
逆に考えれば、思い込みや焦りを無くし、余裕を持って安全運転に勤めていくと、事故はかなりの確率で減らすことができるといえるでしょう。
すべてのリスクはゼロにすることはできなくても、ヒヤッとするようなことを減らしていくことができれば、重大事故を未然に防いでいくことにつながります。
安全ということには、やりすぎということはありません。
細かなことにも目を向け、ヒヤッとしたりしないように対処していくことは大切なことだといえるでしょう。
運転は精神的にも余裕をもって、安全に勤めていきたいものです。