状況によって制動距離が大きく変化する
二輪車であるバイクが持つ特性の1つは「制動距離が状況によって変化する」という点です。
バイクのブレーキシステムは基本的にハンドペダルとフットペダルを作動させることで作用します。
ブレーキパッドとタイヤの摩擦、およびドラムブレーキによる減速に加えて、タイヤと接地している地表面との摩擦によって減速するのです。
ということは、これらの要素が少しでも変化すれば、その影響で制動距離も大きく変化するということになります。
特に注意すべきなのは「路面の状態」です。
路面が乾燥しているときはタイヤがしっかりと設置しているのでブレーキがよく効きます。
一方、路面が濡れていたり凍結していたりすると、タイヤとの摩擦が弱くなるため、制動距離が非常に長くなってしまうのです。
また、ディスクそのものが湿っていると、やはりブレーキの効きが非常に悪くなるため、制動距離は伸びる傾向にあります。
雨の日に高速で走行していると、タイヤと接地面の間に水の膜ができる「ハイドロプレーニング現象」が起こりやすくなります。
この状態になってしまうと、どれほどブレーキペダルを強く握ってもブレーキはまったく作用しません。
ですから、路面の状態が良くないときには、いつも以上に安全運転を心掛ける必要があるのです。
車の死角に入りやすいという注意点あり
バイクは自動車と比較してボディーが小さいので、渋滞しているところでも隙間を縫ってすいすいと進むライダーが散見されます。
ただ、自動車の左横を通り抜ける際に、ドライバーの死角に入ってしまい、左折するタイミングで巻き込まれて事故に遭うというケースが非常に多いです。
ですから、バイクを運転する際には、自動車の死角になるべく入らないように注意する必要があります。
前方を走る自動車が左折のウィンカーを出したら、車体を左に寄せてくる可能性が高いので十分な車間距離を保つよう意識しましょう。
「減速したので左側からささっと抜いてしまおう」と考えて急加速しないように注意が必要です。
カーブ時の遠心力にも対応が必要
動いている物体にはカーブを通過する際に外側へ引く力、つまり遠心力が働きます。
速度が増せば増すほど遠心力も大きくなります。
バイクは二輪車なので、四輪である自動車よりも遠心力によってバランスを崩す可能性が高くなりますから、この特性を理解してそれに対応しながら運転することが大切です。
カーブに入る前に十分な減速をすることが大前提となります。
カーブでブレーキをかけてしまうと、タイヤのグリップが悪くなってバランスを崩し点灯するリスクが非常に高くなるので注意しましょう。
また、速度に合わせて車体をカーブの内側へ倒すことでよりバランスを取りやすくなります。
カーブの走行中は視線をカーブの先へ向けておきましょう。
そうすることでバイクの挙動がより安定するはずです。