つい競争してしまう男性、熱くなったら休憩を
ドライブ中に隣の車が勢いよく追い抜いていくと、つい「追いかけよう」と思う瞬間、男性なら経験したことがあるかもしれません。日常生活では落ち着いている人でも、ハンドルを握ると妙な高揚感に包まれることがあり、特に車のスピードが増すと気分が高まって「スッとする」「楽しい」と感じる傾向が強まることがあります。この行動の背景には、男性特有の心理や育ってきた環境の影響が隠れていることがわかっています。
男性がスピードを楽しむ心理の秘密
多くの人が、速く移動することで一種の快感を得ます。社会学者のロジェ・カイヨワが述べたように、スピードに対する快楽には「競争」や「めまい」による刺激が関係していると考えられています。たとえば、ジェットコースターやスキーの滑降のように、速さがもたらすスリルやスピードに伴う爽快感を「めまい」として楽しむ気持ちが生まれやすいのです。車の運転も同様で、スピードが出るほどドキドキしたり、勝負のような感覚が出たりして、脳内には快楽物質が分泌されるとされています。
このような刺激に敏感なのは、実は男性に多い傾向が指摘されています。幼い頃から「男の子らしさ」として、競争心や勝ち負けにこだわる教育を受けてきたことが影響しているとされ、時にはその心理が運転中にも表れることがあるのです。男性は子どもの頃からスポーツやゲームで「勝つ」ことに重きを置く機会が多いため、潜在的に「負けたくない」という意識が育まれやすく、これが知らず知らずのうちに車の運転においても出てしまうことがあります。
競争心がスピードに表れやすい男性
「スピード狂」といった言葉があるように、スピードを出すことそのものに魅力を感じる人もいれば、隣を走る車に抜かれたくない気持ちから、アクセルを踏んでしまう人もいます。これはただ単に速さを楽しんでいるだけではなく、競争心が背後に潜んでいるためです。心理カウンセラーの専門家によると、男性は抜かれると「悔しい」と感じやすく、その思いが「もっと速く走りたい」という行動につながりやすいとされています。こうした競争心や挑戦心は日常の中でも多く見られるものですが、車を運転するという状況では、競争心と楽しさが一体となり、興奮しやすいのです。
また、こうしたスピードの刺激を感じると脳内で「ドーパミン」と呼ばれる物質が分泌されるため、達成感や快感が伴います。これが運転中の「楽しさ」と結びつくため、さらにスピードを出すことに夢中になってしまうことが少なくありません。
女性には「スピードの楽しさ」が伝わりにくい?
一方で、こうしたスピードへの「楽しさ」に対する考え方は、女性には理解しがたい部分もあります。一般的に女性は男性に比べて「調和」を重視する心理があるとされ、たとえば、同じドライブでも景色を楽しんだり、快適さを感じたりすることに重きを置く傾向があります。これは、女性が幼い頃から他者との関係や協調を大切にする場面が多いことも関係しているかもしれません。
また、進化論的な観点からも、男性は古くから狩りや戦いといった「勝つための競争」を行ってきた一方、女性はコミュニティ内での役割分担や子育てを支えてきた歴史があるため、スピードや競争に対する関心が異なるとされています。そのため、男性がスピードを楽しんでいる理由や、つい追い抜かれたくないという気持ちが理解しにくいのです。
競争心が招くリスクと、冷静さを取り戻すコツ
車を運転する際には、他車との無用な競争は避け、安全第一であることが重要です。しかし、前述のような背景もあるため、競争心を抑えるのは簡単なことではありません。では、スピードを求める気持ちが湧いた時、どのように冷静さを取り戻せばよいのでしょうか?
ひとつの方法として、気分転換の休憩を挟むことが挙げられます。これは心理カウンセラーの助言でもあり、休憩を挟むことで運転の緊張が和らぎ、頭が冷静になる効果が期待できます。また、同乗している人がいる場合は「ちょっとコンビニに寄りたい」と声をかけるのも良い方法です。スピードに夢中になっている状態から、他の行動へと意識を切り替えやすくなります。
さらに、「怖いから少し速度を落として」と穏やかにお願いするのも効果的です。同乗者の不安を伝えることで、スピードを出しすぎた運転手の意識が「守る」方向に切り替わり、自然と冷静さを取り戻すきっかけになります。スピードを楽しむことと安全な運転は別物であることを、ドライブ中に思い出すことが大切です。
ルールを守りつつ、スピードの楽しさを体験するためには?
どうしてもスピードを楽しみたい場合、サーキットの走行会など安全に楽しめる場所に足を運ぶのもひとつの方法です。一般道では制限速度があるため、法律に触れない範囲での運転を心がける必要がありますが、サーキットであれば、自分の限界に挑戦するようなスリルやスピード感を存分に体験できる場を提供してくれます。
最近では、一般ドライバー向けにサーキットの走行会が開催されており、講習やガイド付きで運転のコツを学べることもあります。こうした場では、車の本来の性能を引き出しつつ安全に運転を楽しめるため、ストレスの発散や車への愛着を深める良い機会ともなります。スピードを安全に楽しむための方法を選びながら、車との付き合い方を工夫することが大切です。
スピードと安全のバランスを大切に
スピードを楽しむのは悪いことではありませんが、交通ルールを守りつつ他のドライバーや同乗者の安全を意識することが最も重要です。競争心やスリルを求める気持ちは、趣味や遊びで満たすようにし、運転中は冷静さを保つことが事故防止につながります。また、同乗者がいる場合、彼らの不安や気持ちにも配慮することで、より快適なドライブが実現できます。
運転は毎日の生活の一部でもありますが、ひとつ間違えば取り返しのつかない事故にもなりかねません。楽しさやスリルはサーキットで、日常のドライブではルールを守り、スピードと安全のバランスを意識していきたいですね。