事故による被害額を国から請求されてしまう
バイク事故を起こしてしまい、過失割合が高いと判断されると、生じた損害を支払う義務が発生します。
この時、自賠責保険に加入していないと、相手の損失はすべて自腹で支払わなければなりません。
「自分にはそんなお金はない」と支払いが拒否された場合、損害を被った側は訴訟を起こして国土交通省へ補償を求める権利があります。
その後、国土交通省が被害者に対して支払った補償金は、すべて過失のあるライダーへと請求されるのです。
事故の被害者が怪我をして、その治療やリハビリを行うため医療機関で健康保険などを利用した場合、その支払いもすべて事故を起こした運転者へと請求が行われます。
こうした国の公的機関から支払い要請が行われる場合、決して逃れることができません。
裁判所を通して差し押さえ命令が出され、現金だけでなく家財や給与などもすべて徴収されます。
会社員として働いている人であれば、その仕事場にも国から指示を受けた執行官が来て手続きをしていきます。
そうなると、評判が損なわれるだけでなく、仕事を失うリスクも否定できません。
250cc以上のバイクに関しては、毎回の車検手続きでほぼ自動的に自賠責保険の支払いが行われるため、加入していないという事態はまず起こりません。
一方、250cc未満のバイクに関しては車検の義務がないため、購入時に自賠責保険を支払ったものの、その後更新をせず支払いを行っていたということが時折起こってしまいます。
ですから、事故が生じた場合のリスクを理解して、定期的に自賠責保険の証書を確認しておくのは適切です。
自賠責保険だけでなく任意保険にも加入しておけば安心
自賠責保険の補償内容は対人賠償に限られており、補償額も最大で4,000万円程度となっています。
それだけあれば十分ではと感じる人もいることでしょう。
とはいえ、過去の判例によれば、死亡事故の補償額が1億円を超えるというケースは意外と多いのです。
自賠責保険で補償できない部分に関しては、当然実費での補填が求められます。
ですから、いざという時の備えとして、保険会社が提供する任意保険に加入しておくのは賢明です。
任意保険であれば、対人賠償・対物賠償を無制限に設定することが可能です。
また、特約を追加することで、過失割合に関して納得ができない場合や示談が成立せず裁判へと持ち込まれた場合には、弁護士をはじめとする専門家の助けを得ることもできます。
加えて、一時金の支給や医療機関を受診した時の費用負担、自分のバイクが壊れてしまった場合の修理費用を支払ってもらえるというオプションもあります。
特に、事故の影響で仕事ができなくなってしまった際、お見舞いとして一時金が支給されるというのは大変有難いサポートといえるでしょう。