バイクに乗る人も乗らない人も、事故について知っておきたい基礎知識まとめ

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Posted by SLbik7uK | Posted in 事故が起きた! | Posted on 07-11-2025

慰謝料に納得がいかない場合は?

「こんなに辛い思いをしたのに、提示された慰謝料がこれだけ?」 「通院にかかった時間や、仕事への影響を考えると、到底納得いかない…」
慰謝料に納得がいかないと感じているのであれば、その直感は正しい可能性があります。
なぜなら、加害者側の保険会社が最初に提示する金額は、被害者が本来受け取るべき「適正な金額」よりも低く抑えられているケースがほとんどだからです。

なぜ保険会社の提示する慰謝料は「低い」のか?

慰謝料に納得がいかない理由の多くは、保険会社が提示する金額の「計算基準」にあります。
交通事故の慰謝料(特に入通院慰謝料や後遺障害慰謝料)を算出する基準には、以下の「3つの基準」が存在し、どの基準を用いるかで金額が大きく変動します。

1. 自賠責基準

概要: 自動車を保有するすべての人に加入が義務付けられている「自賠責保険」で用いられる基準です。
特徴: 国が定めた最低限の補償を目的としています。そのため、3つの基準の中で最も金額が低く設定されています。
補足: 傷害部分の補償上限は120万円と定められており、治療費や休業損害などもこの枠に含まれます。

2. 任意保険基準

概要: 加害者が任意で加入している保険会社が、示談交渉の際に用いる内部基準です。
特徴: 各保険会社が独自に設定しており、公表されていません。一般的に、自賠責基準よりは高いものの、後述する弁護士基準よりは大幅に低く設定されています。
注意点: 保険会社は「これが弊社(当社)の基準です」と提示してきますが、これは法律で定められた最終的な金額ではありません。

3. 弁護士基準/裁判所基準

概要: これまでの裁判例を基に設定された基準です。弁護士が被害者の代理人として交渉する際や、実際に裁判になった際に用いられます。
特徴: 3つの基準の中で最も高額であり、被害者の精神的・肉体的苦痛を適正に評価する基準と言えます。
重要: 被害者が個人で「弁護士基準で支払ってほしい」と交渉しても、保険会社が応じることはまずありません。「弁護士が介入した(=裁判も辞さない)」という事実をもって、初めてこの基準での交渉テーブルに着くことができます。
「慰謝料に納得いかない」と感じている金額は、「任意保険基準」で計算されていることがほとんどです。保険会社は営利企業であるため、当然ながら支払う保険金(慰謝料)はできる限り低く抑えたいと考えるためです。

「慰謝料に納得いかない」と感じるケース

慰謝料の基準以外にも、被害者が「納得いかない」と感じるポイントはいくつかあります。これらはすべて、最終的な受取額に直結する重要な要素です。

ケース1:後遺障害(後遺症)の等級認定に納得いかない

事故による怪我(むちうち、骨折、高次脳機能障害など)が、治療を続けても完治せず、何らかの症状が残ってしまった状態を「後遺症」と呼びます。
この後遺症が、自賠責保険の基準で「後遺障害」として等級(1級〜14級)に認定されると、入通院慰謝料とは別に「後遺障害慰謝料」と「逸失利益(後遺障害がなければ将来得られたはずの収入)」を請求できます。

納得いかないと感じる主な理由

・等級が認定されなかった(非該当): 症状が残っているにも関わらず、「後遺障害にはあたらない」と判断された
・認定された等級が低すぎる: 例えば、12級が妥当だと思っていたのに14級と認定された場合、後遺障害慰謝料や逸失利益は数百万円〜数千万円単位で変わってきます。
保険会社が主導する「事前認定」という方法で等級申請を行うと、被害者にとって十分な資料が提出されず、不利な結果になりがちです。

ケース2:過失割合に納得いかない

事故が発生した責任が、加害者と被害者それぞれにどれくらいあるかを示す割合が「過失割合」です。例えば、加害者80%:被害者20%(8対2)などと表されます。
保険会社は、過去の判例を基に過失割合を提示してきますが、その際に加害者側(自社の契約者)に有利な解釈を適用しようとすることがあります。
もし被害者側に20%の過失が認められると、慰謝料や治療費など、損害賠償の総額から20%が差し引かれてしまいます(過失相殺)。たとえ慰謝料の「基準」が適正でも、過失割合で不利になれば、最終的な受取額は大きく減ってしまうのです。

ケース3:保険会社から治療の打ち切りを打診された

まだ痛みがあり通院を続けたいのに、保険会社から「そろそろ症状固定(これ以上治療しても改善しない状態)として、治療費の支払いを打ち切ります」と連絡が来ることがあります。
これは、入通院慰謝料が「通院期間」をベースに計算されるため、通院が長引くほど保険会社の支払いが増えるためです。
しかし、治療の終了を判断するのは医師であり、保険会社ではありません。もし不当に早く治療を打ち切られてしまうと、その後の治療費は自己負担となるだけでなく、慰謝料の計算期間も短くなり、結果として「納得いかない」金額になってしまいます。

なぜ、納得いかないまま示談に応じてはいけないのか?

示談は民法上の和解契約です。一度サイン(捺印)すれば原則やり直しはできません。「やっぱり低すぎた」「新たな症状が出た」と感じても、追加請求は極めて困難になります。焦って終わらせるほど、取り返しがつかなくなる点に注意が必要です。

弁護士に相談するメリットと最初の一歩

適正額へ近づける近道は、交通事故に精通した弁護士への早期相談です。弁護士は、どの基準で、どの項目が、どれだけ不足しているのかを再評価し、必要資料(診療明細・通院履歴・就労証明・現場記録など)の整備を支援します。後遺障害の申請や異議申立ても、進め方ひとつで結果が変わります。
また、保険会社とのやり取りの窓口を任せられるため、心理的負担も軽減できます。
まずは保険証券を確認し、弁護士費用特約の有無と上限額をチェック。付帯していれば自己負担なく、または軽負担で依頼できる可能性があります。
相談時は、事故証明・診断書・通院記録・領収書・ドラレコ映像などを持参し、現在の提示額がどの基準で算出され、どの項目で差が出ているかを洗い出しましょう。

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